先日、イギリスGPの赤旗中に勢いで共通テーマ「七夕」を書いたのですが、その時テキストサイトのスレに赤旗中断中に書いたぜといったら、赤旗とはなんぞやと聞かれたので今回はレースにおける旗の種類や役割について書いていこうと思います。
レース旗はモータースポーツにおいて、ドライバーに対してオフィシャルからのメッセージの伝達方法として古くから使用されていました。メッセージの例としては次のようなものがあります。
「ここ危なくなってるから注意して走れ」
「路面が滑りやすくなっているから注意しろ」
「危ないのはここまでだ」
「コースヤバイからレース一時中断な」
「周回遅れだからゆずりな」
「お前失格だよ」
「壊れてるからピットに戻って直せ」
「レース終了だ」
例としてあげましたが、レース(特にF1)を見るぶんに関して言えば、これだけ知ってれば十分に楽しめると思いますし、これでも滅多に出てくることはないであろうものもあったりします。
最近ではアナログ的な旗だけでなく、デジフラッグという電光掲示板のような電子旗も使われるようになりました。LEDが使用されていてとても明瞭でけっこう主張が激しいです。デジフラッグ以外にも、各ドライバーはステアリング(超高機能ハンドル)で、個別にどのフラッグが自分に対して振られているのかという確認もできるみたいです。さすがハイテクの極みを目指すF1といったところでしょうか。
テレビで見る私達は、黄旗や赤旗が出ているかどうかの確認を、周回数を表示させる部分の色の変化で確認することができます。また、有料のLT(Live Timing)を使えばどこからどこまでがイエローなのかもわかったりします。
画面以外でも、マーシャルが振っている旗を見つけることができたらそこでわかりますね。ちなみにマーシャルとはコース係員の総称です。F1を見始めた頃はマーシャルという単語がよくとびかっていて、てっきりマーシャルさんという名前の人がたくさんいるのかと思っていたりもしました。
それではここで本題にもどそうと思います。
旗には大きな意味合いで分けると、以下の様な3つの分類に分けることができます。
・ステータスフラッグ
・インストラクションフラッグ
・チェッカーフラッグ
それぞれの分類や、その分類に含まれている旗の種類・意味等について、先程の例なども交えながら説明していこうと思います。
これから説明していく旗の数字と、画像で示している旗の数字が対応しているので、旗を見ながら説明を見てもらえればと思います。
●ステータスフラッグ
これはコースの状況をすべてのドライバーに知らせるために使われる旗の分類で、次のようなものがそれにあてはまります。
1.黄旗(イエローフラッグ)
「ここ危なくなってるから注意して走れ」
コース上が一部危険な状態であるということを示す場合に使われる旗です。例えばクラッシュとかが起き、パーツが飛んでいたり、コース上やそのすぐ近くに車があったりする場合などに振られることがおおいです。この旗が振られている区間では通常よりも減速して危険を回避する必要が有るため、この区間で全力走行をしてはいけませんし、黄旗のときは追い越し禁止なので前の車を追い越すこともできません。
2.オイル旗
この旗を見ると向きは違えどカタルーニャ(カタロニア)を彷彿とさせるのは私だけでしょうか。カタロニアとはスペインから独立しようぜと躍起になってる地域でバルセロナもそこに含まれていたりします。
本題に戻りますが、この旗は「路面が滑りやすくなっているから注意しろ」という意味合いで使われます。
例えばエンジンオイルが漏れだしていたり、スピンなどでコース際の砂などが大量にコース内に入ることでグリップ(タイヤが地面をつかむ力)が失われそうなところで振られます。
3.緑旗(グリーンフラッグ)
「危ないのはここまでだ」
先ほど示した黄旗は危ない区間を示していましたが、こちらはコースが安全なことを示している旗になります。黄旗のあとに緑旗がみえると、危険な区間はここまでだという意味合いになりますね。
黄旗区間を抜けるとまた全速力でのレースが再開されるので、もしかしたらすきを突いてグリーンになった瞬間に抜くドライバーもいるかもしれません。
4.赤旗(レッドフラッグ)
「コースヤバイからレース一時中断な」
セッション(決勝レース・予選・フリー走行)を行うにはあまりにも危険な状態になると赤旗が振られます。これが振られる例としては次のようなものが有ります。
・多重クラッシュなどによるコースの危険
・豪雨によりマシンが走れる状態でない
・壁やガードレールが壊れて観客への危険性が出た場合 などなど
大抵の場合は一時中断でレースを再開がほとんどですが、もうどうしようもないとなった場合はそのまま終了となります。ちなみにF1はレースが2周を終えていれば赤旗で終了しても決勝の結果として認められます。この時の順位の判断方法は、旗が振られる2周前のコントロールライン(周回の基準線≒フィニッシュライン)の通過順となります。
●インストラクションフラッグ
先ほどまでの旗は、コースに関して全体に告知をするものでしたが、インストラクションフラッグは特定のドライバーに対してメッセージを伝えるための旗になります。
5.青旗(ブルーフラッグ)
「周回遅れだからゆずりな」
青と緑は信号で言えば似たようなイメージですが、レースでは全く違います。
レースをしていると弱いチームは強いチームに周回遅れにさせられることが有ります。そのとき弱いチームのドライバーに青旗が振られ、後ろからきたより多くの周回を重ねているドライバーに進路を譲らなければなりません。これを無視するとペナルティが与えられます。
しかし周回遅れのマシンでも、周回が同じ(順位を争っている)車に対してはペースが遅くても譲らなければいけない決まりはありません同一周回どうしは実力で順位を争います。
6.黒旗(ブラックフラッグ)
「お前失格だよ」
これはめったに出てきませんが、そのものの意味としては、オフィシャルがピットにドライバーを召喚するための旗になります。黒旗と一緒に対象の車のカーナンバーも掲示されます。黒旗を掲示されるときは失格のときが大概です。
7.オレンジボール(オレンジサークルフラッグ)
「壊れてるからピットに戻って直せ」
マシンが壊れている時、大概の場合はピットからの無線や、ドライバーの意志によりすぐにピットインをして修復が行われます。しかし、修復せずに走り続け、危険だとオフィシャルが判断した場合にはオレンジボールがカーナンバーとともに掲載されます。F1の場合ではほぼ見ることはない気もする旗です。別カテゴリの耐久レースなら出てくることもあるんじゃないかなと思います。
黒にはえるオレンジボールがなかなかかわいらしいと思ったりもします。
●チェッカーフラッグ
セッションが終了したことを知らせるための旗です。
8.チェッカーフラッグ
「レース終了だ」
皆さんも知っている白黒の四角がひたすら並ぶあの旗です。この旗が振られることでレース終了の合図となります。この旗が振られている状態でコントロールラインをマシンが通過すると、そのマシンのレースが終わります(チェッカーを受ける)。
周回遅れになっている車もトップのマシンがチェッカーをうけた直後のコントロールラインの通過でレースが終わり、+○LAPと周回遅れですよというふうに表現されます。周回遅れだからといって規定周回数までそのマシンだけグルグル走り続けなければならないということはありません。
見始めた頃はそのことを全く知らず、周回遅れは孤独に走っているのだろうかと思ったりもしていました。しかし今考えるとウイニングラン中に横でひたすら走られるのは迷惑ですし危険ですね。
今回はF1をフラッグという視点から紹介をしていきました。
旗の意味を知らない人がレースを眺めていると特に気に留めないものだと思いますが、知っていると「ここがイエローであーだこーだ」とか「あいつ周回遅れか」とか考えながら見ることができるので楽しいです。
モータースポーツは特にレギュレーション(ルール)が一般的に広く知られていない(コロコロ変わることもある)ので、いざ見てみても楽しいと思う前に興味を失うこともあるのかなと思います。
ルールを知ることで深く見る事ができ、それがさらなる楽しさを持ってくると思うので、何かのスポーツに興味を持ったら、試合(ゲーム・レースなど)を見ながら、ルールを重点的に知っていくことが楽しむことの近道かもしれませんね。
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